スターリングエンジンてどんなエンジン?
 
 
1. スターリングエンジンの歴史
 
世界では・・・
 
1816年 R.Stirling(26歳)がスターリングエンジンの特許取得
1877年 N.Ottoがオットー機関(ガソリンエンジン)の特許取得
1893年 R.Dieselがディーゼルエンジンの特許取得
1914年 第一次世界大戦始まる
1939年 第二次世界大戦始まる
1950年 フィリップス社が200Wの試作機を完成
1954年 フィリップス社がI-365エンジン(出力 56ps/1200rpm )を開発
1972年 フィリップス社が4-215DAエンジン(出力170ps/1400rpm、効率33%)を開発
 
日本では・・・
 
1976年 運輸省による船舶用スターリング機関の研究開発が始まる
1982年 通産省工業技術院における「ムーンライト計画によって、総額100億円規模の汎用スターリングエンジ
     ンの開発が始まる。
1987年 日本のアイシン精機によって、小型乗用車に搭載できるスターリングエンジンが発表される
 
 
熱の本性の研究
 
 
1760年 ワットが蒸気機関を手掛ける
1798年のランフォードの着想・・・
         実弾を発射するよりも、空砲を発射するときの方が砲身がかえって熱くなる現象や大砲の筒に穴をあけるときに発生する摩擦熱。
1799年のデービーの実証・・・
         真空中で2個の氷塊をすり合わせて発生する摩擦熱で氷塊がとけていく実験。"熱素というものは存在しない.熱の本性は運動の中に
         存在する."という重大な結論に達した → 熱の本性が研究される以前から、熱から仕事を取り出していた。
1824年 フランスの物理学者 カルノー
「熱と動力についての考察」と題する論文発表(28歳)
         "熱機関で動力を発生するときの現象を個々の機関やそれに使う媒体の種類に関係なく一般的に考察して、熱機関では、
         熱を高温から低温に移すときに仕事を発生するが、その動きを連続的に行なうためには、サイクルを行なうことが必要
         であり、可逆サイクルを定義して可逆サイクルのとき最大の仕事が発生すること、またそのときの効率は熱が入るとき
         の温度が高く、出るときの温度が低いほど大きくなる."
         → これは、今日の熱力学第二法則の根底をなすもの。
 
 
1829年 スチブンソン:蒸気機関車「ロケット号」を走らせる
1842年 マイヤーは「エネルギーのすべての形は同等であって保存される」
1843年 ジュールは、水中で羽根を回転してそれに消費された力学的エネルギーと摩擦熱で水温が上昇した熱エネルギーとを等しいとして熱の仕事
     当量を定める実験を行った。   J= L/Q =427 kgf*m/kcal
     熱が一種のエネルギーであり、熱と機械的仕事すなわち、熱的エネルギーと機械的エネルギーとの変換の法則を明らかにした。
 
 
熱カ学は、人類が熱から仕事を取り出したいという発想から生まれた熱機関からの発展によるものである。その後多くの人々の努カで理論的に体系化され、今日では古典物理学という形で完成された学問となっている。熱力学は"熱と仕事"に関する理論で、エネルギー問題をはじめとする現代の我々の生活基盤に直接貢献する学問体系である。さらに燃焼工学、情報工学、物性工学、生物科学などへ広く展開されており、その必要性はさらに拡がっている。
 
 
 
2. スターリングエンジンの特徴
 暖めるだけでエンジンが作動する!!
 
(1)高い熱効率が期待できる
(2)熱源の種類を問わない・・・作動ガスを外から加熱する外燃機関であり、どんな燃料でも熱源に使用できる。
                   化石燃料は、あと30年程度で枯渇するといわれている。太陽熱、地熱、産業廃棄熱などのエネルギーの高度利用を
                   一層促進する必要がある。
(3)静粛・低公害
   → スターリングエンジンは、現在、各開発目的に沿って各種のタイプが研究・開発されている。このエンジンは、比出力、耐久性および操作性をはじめ解決しなければならない問題が多いが、低公害、多種燃料形エンジンで重要な将来熱機関の一つである。
 
 
将来のスターリングエンジンの発展の方向
   (1)離島や農山村向けの太陽光、石炭、薪炭などを熱源とし、空気を作動流体とする簡単な低速・低出力比の動力用万能エンジン。
   (2)ガス等を熱源とし、ヘリウム、水素を作動流体とする高速・高出力比・高効率エンジンで、ヒートポンプ駆動用、野外発電用等としての用途。
 
 
3. スターリングエンジンの作動原理
 
 
 
 
右上図の過程を交互に繰り返せば、連続的に動く最もシンプルな熱機関となる。そしてこれをいかに実用化すればよいか、その答えをスターリングが出した。
 → 空気を同じ場所で加熱、冷却することを交互に繰り返すかわりに、左上図のように加熱部と冷却部を分け、その間を空気が往復するようにした。
 
 
 
 
 
 
 
シリンダ内部のガスの移動の働きは、ディスプレーサが下に動くと高温ガスが多くなってシリンダ内全体の圧力が高くなり、上に動くと低温ガスが多くなってシリンダ内全体の圧力が下がる(ボイル・シャルルの法則)。R.Strlingは、このディスプレーサによってシリンダ内のガスを加熱、冷却するための問題点を解決した。つまりガスが加熱部と冷却部との間をディスプレーサによって往復するようにした。ディスプレーサをパワーピストンより90度位相を進ませて連動すれば、パワーピストンから動力が取り出せる。
 
 
 
 
4. カルノーサイクルとスターリングサイクル
 
4.1 カルノーサイクル
 
動力を大きくするためには両熱源の温度差を大きくとる必要があり、損失を小さくするためには逆に温度差を小さくしなければならないので、この二つの条件は相反する。
 
→ 熱の移動を行う過程と温度変化を行う過程とをはっきりと分ける必要がある
→ 一つのサイクルで損失を無限小にするには左下図のような状態を設定すればよい
 
これは、カルノーが提唱したカルノーサイクルである。
すなわち、一定の高低両熱源間でサイクルを可逆的に動かすには、
 
(i)熱を受ける過程は、一定温度で熱源より無限小だけ低温
(ii)熱を捨て去る過程は、一定温度で熱源より無限小だけ高温
(iii)温度変化の過程は、サイクルと外部との間に熱の出入りがない
 
という三つの条件が満たされていることで完全な可逆サイクルと成り得る。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
4.2 スターリングサイクル
 
 
A:DPは上死点にあり、封入されている作動流体は低温・低圧の状態
A→B(等温圧縮):PPによって作動流体が圧縮を受けて低温熱源へ熱量QLを捨てつつ、低温状態で変化している
B→C(等容加熱):一定容積の状態で熱を蓄えていた再生熱交換器から熱量QBCを受熱すると系内の圧力が増す
C:作助流体が最も高温・高圧の状態
C→D(等温膨張):作動流体はPPを押し下げ、外部へ仕事を行う。
D→A(等容放熱):一定容積の状態で再生熱交換器に熱QDAを蓄える・熱量QBCと大きさが等しい
DP:Displaocrpiston,PP:Powcrpiston
再生熱交換器が、無限大の伝熱面積と熱伝達率をもっていれば、その効率は100%となる(|QBc|=|QDA|)このときスターリングサイクルは、カルノーサイクルと同じ熱効率を有する
                    ηS = 1・TL / TH
5. スターリングエンジンの種類
 
スターリングエンジンは内燃機関と比べて作動システムが複雑なため、ピストンやシリンダの配列や役割によってさまざまな形式のエンジンが考案されている → 参考文献等を参照のこと
 
参考文献: 一色尚次著、「スターリングエンジンの開発」再浮上した夢のエンジン、工業調査会発行